日本には創業から100年を超える企業が37000社あるとされており、その数は世界一だそうです。では武蔵小山周辺にはどのような老舗があるのか、創業100年前後「以上」の企業やお店を紹介します。
武蔵小山周辺の老舗
河邊商店(乾物)
香港上海銀行(HSBC)が設立された1865年(慶応元年)に江東区古石場できざみ昆布の製造から始まり、武蔵小山の一番通りに店舗を移して100年近くが経つ老舗です(出典:品川区永年継続事業所表彰 品川区)
東京堂(時計・メガネ)
目黒競馬場が開設されたのと同じ1907年(明治40年)に大井で創業、その後武蔵小山に店舗を移しパルム商店街で営業しているメガネと時計のお店です。
惜しくも2025年春に閉店します。
清水屋(米・酒)
玉川線が道玄坂-三軒茶屋間で開通したのと同じ1907年(明治40年)創業、後地交差点のお米屋さん。日本酒の取り扱いも豊富で、獺祭の正規取扱店です。
内田海苔店(海苔)
カルピスが発売されたのと同じ年、1919年(大正8年)創業の海苔店。近隣では贈答品の定番品として利用されているほか、家庭向けの海苔や食料品なども豊富に販売。焼き海苔がとにかくおいしいので食べたことがない方はぜひ試してみてください。缶入りの焼き海苔は卓上に置いておくとすぐ無くなってしまいます。
戸田屋(ふとん)
関東大震災が発生した1923年(大正13年)創業の布団屋。パルム商店街の紳士服AOKIの裏手にあります。
清水湯(銭湯)
阪神甲子園球場が竣工した1924年(大正14年)創業の銭湯。
銭湯が苦境に陥り減少を続ける中、1994年に天然温泉を採掘したことで一躍人気の銭湯に。更に2007年に二本目となる源泉の採掘に成功し、2種類の天然温泉を楽しめる銭湯として遠方からも多数のお客さんが訪れる人気の銭湯で、地域からも愛されています。
浜田屋(和食・うなぎ)
山手線が環状運転を開始した1925年(大正15年)創業のうなぎのお店。パルム商店街銀座通りに店をかまえて今年で100年を迎えます。
うなぎが名物のお店ですが、ランチではカツ丼や親子丼などの手軽にいただけるメニューも提供しており、地域住民の胃袋を満たしています。老舗の雰囲気が漂う店内でゆっくりと食事をいただくことができます。
やぶそば(そば)
大正時代創業のそば屋。タワマンのふもとで蕎麦を始め、手軽にいただける幅広いメニューを提供しています。向かいにある巴寿司も1932年創業と歴史あるお店です。
鳥勇(焼き鳥)
チョコレートのゴディバと同じ1926年(昭和元年)創業の焼き鳥屋さん。武蔵小山に三店舗展開、再開発前は駅を出てすぐ目の前にお店があり、その煙が駅出口周辺を覆っていたことから武蔵小山の象徴とも言うべき存在のお店です。継ぎ足し使っている秘伝のタレは老舗の歴史を感じさせます。
博水社(酒)
上智大学が設立された1928年(昭和3年)に品川区で創業、現在は武蔵小山駅近くの目黒本町6丁目に本社をかまえる酒関連製品のメーカー。「ハイサワー」で全国的にも知られており、武蔵小山・西小山地域のまちおこしにも貢献しています。
その他
主にBtoBのビジネスを行っている武蔵小山周辺の老舗を紹介します。
創業 | 備考 | |
---|---|---|
国小林組 | 1905年頃(明治後期) | 鳶、住宅基礎 |
山十 | 1926年(大正15年) | 竹製品の販売業者 |
街の発展が始まった1923年
1920年代に創業したお店が多い理由としては、この地域は1923年の目蒲線(現目黒線)の開通を機に人が住み始め、発展が始まったためです。それ以前の武蔵小山周辺は江戸の外れの、竹やぶや痩せた農地がひろがる寒村だったと言われています。
1923年に鉄道が開通し、更にその年の9月に関東大震災が発生したことで火災などの被害が甚大だった東京23区東部から大量の住民が一挙に流入し、10年ほどの間に宅地化が進んだとされています(参考:武蔵小山商店街住宅街の成立 品川区) 創業100年を迎えたお店も、オープン当時はニュータウンに進出した新しいお店だったというわけです。
2008年のパークホームズ武蔵小山の再開発以来、武蔵小山では100年ぶりとも言える大規模な再開発が進み、既に3棟の大型マンションが完成。更に今後も続々と大型マンションが商店街と融合した形で建設される計画です。平成以降にオープンしたお店も、次の100年後の「老舗」となっていくのかもしれません。