再開発が進む武蔵小山。既に完成した2棟のタワーマンションの他にも、再開発計画が進行しています。その再開発計画をめぐって「デマ」が拡散してしまっているので、実際の開発計画をもとに地元住民の私が解説します。
「再開発で商店街が無くなる」というデマが拡散している
実際に拡散してしまっている「デマ」の実例を2つ紹介します。
Yahooニュース “ 「タワマン反対の声を上げるのは“カスハラ”なのか⋯?」品川区で深まる対立 超人気エリアで起こる「住民 VS.行政」バトルの裏側“ 山下 努 news.yahoo.co.jp/articles/d549f8d8c9df34bf9303848c257d87d376d45289?page=3 参照2024年12月22日
Yahooニュースに掲載された記事には「商店街を寸断する計画」とあります。
日本共産党東京都委員会 “巨額補助金で「再開発」 東京・品川 官製“地上げ”横行 消える商店街 住み家失う高齢者“ www.jcp-tokyo.net/2023/0305/77783 参照2024年12月22日
記事のタイトルとして「消える商店街」、また本文中にも「商店街がなくなるわけだし。」との表記があります。
SNSでも「再開発で商店街が無くなるんだ」といった投稿が散見されます。
実際の再開発計画はどうなっているのか
では、これまでに完成した再開発計画あるいは今後計画されている再開発計画はどのような形なのか、実際の現地の写真や東京都のウェブサイト上にある再開発計画の資料をもとに解説します。
完成済みのパークシティ武蔵小山
上の写真は2019年秋に完成したパークシティ武蔵小山を含むエリアのようすです(写真左手、日比谷花壇などが入る建物)
こちらの写真は再開発直前の2015年9月に撮影したものです。1枚目の写真の撮影地点から5m少々、駅ロータリー側に離れた地点から撮影したものです。1枚目の写真は「エイブル」の看板下付近から撮影しています。
写真を見て分かるとおり、既に完成済みのパークシティ武蔵小山ではパルム商店街に面した場所は概ね同じ位置に店舗が設けられており、商店街は「無くなっていない」ことが分かります。
商店街の外から見たようすです。
今後予定されている再開発計画は?
具体的な計画が公表されている再開発計画を解説します。
小山三丁目第1地区第一種市街地再開発事業
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.17” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/365_koyama3-1/05/05202236500_01.pdf 参照2024年12月22日
上図中央がパルム商店街に当たります。「広場状空地①」は現在のベリテ付近、広場状空地②は一番通り商店街入口の大内電気、e-cut付近です。
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.18” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/365_koyama3-1/05/05202236500_01.pdf 参照2024年12月22日
上図中央がパルム商店街です。現在の店舗エリアに加え、2階にも通路が設けられ店舗が並ぶ計画です。
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.24” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/365_koyama3-1/05/05202236500_01.pdf 参照2024年12月22日
パルム商店街G1(銀座通り)が現在のアーケード形式からピロティ形式へと変更になる点は大きな変更点と言えます。
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.19” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/365_koyama3-1/05/05202236500_01.pdf 参照2024年12月22日
アーケードからピロティに変更される箇所についても店舗が設けられる計画です。
小山三丁目第2地区第一種市街地再開発事業
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.7” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/367_koyama3-2/05/05202236700_01.pdf 参照2024年12月22日
現在のパルム商店街の挟み込む形でタワーマンションと低層の建物が建設される計画です。
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.23” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/367_koyama3-2/05/05202236700_01.pdf 参照2024年12月22日
隣接する小山3丁目第1地区と同様に新たに2階に通路が設けられ、隣接ビルとデッキで接続されます。なお既に完成済みのパークシティ武蔵小山と小山3丁目第1地区もデッキが接続される計画で、パークシティ側の対応工事も既に完成済みです。パークシティ-小山3丁目第1は現在のタマブックス付近で接続します。
下図 東京都環境局 “環境影響評価書案 概要版① P.23” https://assess-toshokohyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/web_public/367_koyama3-2/05/05202236700_01.pdf 参照2024年12月22日
歩道や車道が広くなる箇所や、広場が設けられる箇所はあるものの、パルム商店街あるいは一番通り商店街に面した低層部分はいずれも店舗となる計画であることが分かります。
アーケードの架替えも予定
下図 東京都都市整備局 “街並み再生地区の指定 P.10” https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/fop_town/pdf/syare04_housin_08.pdf 参照2024年12月22日
再開発計画とあわせて、パルム商店街のアーケードの架替えも検討されています。
小山3丁目第1・第2地区の再開発計画では2階にも通路(幅3.5m)がパルム商店街に面した両側に設けられ、店舗が配置される計画です。通路は片側でパルム商店街の約半分、両側あわせて概ねパルム商店街と同程度の幅となります。
それにあわせてパルム商店街のアーケードも高さを大幅に引き上げる形で架替えが計画されています。上記資料からアーケードの詳細部分を拡大して引用します。
下図 東京都都市整備局 “街並み再生地区の指定 P.10” https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/fop_town/pdf/syare04_housin_08.pdf 参照2024年12月22日
現在のアーケードの天井付近の高さが2階通路となり、架替え後のアーケードは大幅に天井高が引き上げられることが分かります。吉祥寺のアーケード街と同等かそれ以上の高さとなるでしょう。
下図 東京都都市整備局 “街並み再生地区の指定 P.10” https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/fop_town/pdf/syare04_housin_08.pdf 参照2024年12月22日
結論
新たに広場が設けられる点と、パルム商店街G1がアーケードからピロティに変更される点を除けば再開発完成後も概ね現在の商店街の形は維持されると結論づけることができます。商店街が「無くなる」計画ではないことが客観的な事実と言えます。
誤った情報が拡散している背景として、再開発を進める再開発(準備)組合等による情報発信が不足していることも要因の一つとして指摘できます。地権者に対しては情報提供が行われているのかもしれませんが、地権者ではない近隣住民等に対しては定期的に発行され新聞折込で配布される「開発連絡会ニュース」しか情報提供のチャネルが無く、また開発連絡会ニュース自体も再開発計画の内容を知らせるものになっているとは言い難いです。
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これからも発展を続ける武蔵小山
武蔵小山はこれまであった良さを活かしつつ、これからも発展を続ける街です。商店街の賑わいに加え、再開発により生まれた広場では地域イベントが開催され街の賑わいに貢献しています。
「ムサコたけのこ祭り」のようす↑
左からパークシティ武蔵小山(41階建て)、シティタワー武蔵小山(41階建て)、パークホームズ武蔵小山(19階建て)